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巻頭エッセイ


第321号 目に見えるものと、目に見えないもの

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■ 1.巻頭エッセイ:目に見えるものと、目に見えないもの
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オーラソーマ総合情報サイトブログでは、色をテーマに、いろいろなことを自
由に書く試みを始めてみることにしました。
http://ameblo.jp/aurasoma-unity/

そのコーナーで、最初にどうしても取り上げたかったのが、志村ふくみさんの
「一色一生」という本に書かれてあることについてです。

志村ふくみさんは草木染めで人間国宝になった方ですが、植物から染料を取り
出して糸を染めることに一生をかけている方です。

この本を読むと、自然の色から色を取り出すことの不思議、自然の営みの神秘、
色の不思議さを感じます。

みなさんは糸を桜色に染めるのに、何から染めると思われますか?

桜の木からなのですが、桜の木のどの部分からその色が出てくるのでしょうか?

普通に考えると、あのきれいな桜色の花びらから染めるのだと思ってしまいま
す。

でも、そうではないんですね。

それは桜の花が咲く直前の頃、その山の桜の皮をもらってきて染めるのだそう
です。

この話を読んだとき、一休道歌の次の句が思い浮かびました。

「年ごとに 咲くや吉野の山桜 木を割りてみよ 花のありかを」

一休さんは禅の境地から、命のありようをこの句に託しているわけですが、志
村ふくみさんは染織家の立場から次のように書かれています。

「その時はじめて知ったのです。
桜が花を咲かすために樹全体に宿している命のことを。
一年中、桜はその時期の来るのを待ちながらじっと貯めていたのです。
知らずしてその花の命を私はいただいていたのです。
それならば私は桜の花を、私の着物の中に咲かせずにはいられないと、その時、
桜から教えられたのです」

そして、次のように書かれています。

「植物にはすべて周期があって、機を逸すれば色は出ないのです。
たとえ色は出ても、精ではないのです。
花と共に精気は飛び去ってしまい、あざやかな真紅や紫、黄金色の花も、花そ
のものでは染まりません」

「色は出ても精が出ない」

つまり、そこには命のエッセンスが宿らないということなのでしょう。

色は目に見えるものですが、精は目に見えないものです。

桜の花の色は花びらに色として見えますが、その精は、その命は実はその花が
咲く前に桜の幹の中に、見えないところにじっと貯められているのです。

そのことを志村ふくみさんはドイツの詩人ノヴァーリスの言葉を引用して、次
のように書かれています。

「植物の命の尖端は、もうこの世以外のものにふれつつあり、それ故に美しく、
厳粛でさえあります。

ノヴアーリスは次のように語っています。

すべてのみえるものは、みえないものにさわっている
きこえるものは、きこえないものにさわっている
感じられるものは、感じられないものにさわっている
おそらく、考えられるものは、考えられないものにさわっているだろう

本当のものは、みえるものの奥にあって、物や形にとどめておくことのできな
い領域のもの、海や空の青さもまたそういう聖域のものなのでしよう」

聖書の、パウロのコリントの信徒への手紙にも次のような言葉があります。

「わたしたちは見えるもので はなく、見えないものに目を注ぎます。
見えるものは過ぎ去りますが、見えない ものは永遠に存続するからです」
(18節)

どの世界でも、真理を追究すると、ひとつのことに突き当たるようです。

形あるもの、目に見えるものの背後には、形のない、目に見えない世界が広が
っているということです。

それを命というか、精というか、エネルギーというか、空(くう)というか、
無というか、れぞれの言い方がありますが、そのような世界を忘れないでいた
いものです。

ちなみに私が感銘を受けた志村ふくみさんの「一色一生」からの言葉、そして
大岡信さんが志村ふくみさんと対談したときの文章「言葉の力」を参考文献と
して、その中の言葉をブログで紹介しておきます。

この続きは→http://ameblo.jp/aurasoma-unity/entry-10629470468.html

                                尚 記


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