第680号 鮎沢さん(57)「季節の色34」:紅葉色
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■ 1.巻頭エッセイ: (2016,10/5 水)
鮎沢玲子さんの季節で楽しむ日本の色 Vol.33
≪【紅葉色】もみじいろ≫
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もう秋だと思ったら急に暑くなったり、台風が次から次にやって
きたりで、不安定な天気が続いています。
でも、暦の上では秋。
しかも、今回の「季節で楽しむ日本の色」は、そのものズバリで、
【紅葉色】もみじいろ。
秋といえば、芭蕉の次の句が有名です。
「秋深き 隣は何をするひとぞ」
この句を詠んだ芭蕉は、その2週間後に世を去ってしまいました。
人生の晩秋を思っての句だったのかもしれません。
晩秋に枯れ葉が散るように、命も散ってしまいます。
それはともかく、今回の「季節で楽しむ日本の色」では、いろいろ
な発見がありました。
天狗の団扇は、なぜ楓の形なのか?
「花札」で「もみじとシカ」の図柄を不思議に思っていたのですが、
その謎も解けました。
日本の文化を知ると、いろいろな謎が解けていきます。
ちなみに、文中にある
「ちはやぶる 神代も聞かず竜田川 からくれなゐに水くくるとは」
という句の意味は、
「神々の時代でも聞いたことがないような不思議なことだ。
竜田川の一面に紅葉が浮かんで、鮮やかな紅色に水をしぼり染め
にしているなんて!」
・・・というような意味です。
それでは、鮎沢玲子さんの季節で楽しむ日本の色 Vol.33
≪【紅葉色】もみじいろ≫を、どうぞお楽しみください。
それでは、今日もすてきな一日を!
Have a nice day.
尚 記
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日本の旧暦には、1年間を24等分して、ほぼ15日ごとに季節の
名前をつけた「二十四節気」があります。
今の時期では、新暦(グレゴリオ暦)の10月8日頃~が「寒露」
(かんろ)、そのあと10月23日頃~が「霜降」(そうこう)
です。
さらに二十四節気を3つに分けて、季節を表す言葉をつけたものが
「七十二候」で、これはオーラソーマのカバラ72天使とまったく
同じ区分になっている点がたいへん興味深いのです。
「霜降」の3番目の七十二候は「楓蔦黄」(もみじつたきばむ)で、
紅葉の時期をさしています。
暦のうえでは、これが秋の最後の候となります。
10月に入り、今年も紅葉の便りが聞えてきます。
紅葉を詠んだ有名な和歌に「ちはやぶる 神代も聞かず竜田川
から紅に水くくるとは」(在原業平朝臣)というのがあります。
百人一首のなかでも、最も多く詠まれている季節が秋です。
この歌の「竜田川」とは、奈良県生駒山麓を水源とし、斑鳩の里を
流れ大和川に合流する15Kmほどの川で、紅葉の名所として
知られています。
神話ではこの川を護るのが「タツタヒメ」という、秋の女神であり
風の女神。
秋を彩る楓や蔦はタツタヒメの衣装・・・というロマンティックな
設定です。
そういえば「楓」は木へんに風と書くのですね。
風の神様に、なんてふさわしい。
タツタヒメは裁縫や織物の神様でもあるそうで、紅葉の美しいさま
を「錦繍」(きんしゅう)と呼んだりするのも、きっとつながって
いるのでしょう。
タツタヒメにまつわるお話はいろいろあります。
彼女の夫はなんと「天狗」だそうで、大きな楓の団扇を持っていて
強い風を起こすのです。
風の神様カップルなのですね。
またタツタヒメは、秋が深まると、シカの身体から白い斑点を奪って
天に帰り、風を起こして冬に雪を降らせるといいます。
日本の古典的カードゲーム「花札」で「もみじとシカ」の図柄は
これに由来しているそうです。
紅葉のメカニズムはこうです。
光合成の役割を終えた葉から、緑の色素であるクロロフィルが分解
されて消え、かわりに赤い色素アントシアニンが現れるそうです。
この赤い色が、木に必要な養分を蓄える働きをしているという仮説
があります。
ただ美しいだけじゃないんですね。
植物としての役割をまっとうし、なおも最後に美しく山を彩り、
私たちを魅了して土に還っていく。
昔の人が自然の営みのなかに、神の存在を感じたのは、もっともな
ことです。
深まりゆく秋、タツタヒメの錦繍の衣装を楽しみに、ぜひ「紅葉狩り」
に出かけましょう。
今年は秋の長雨ばかりなので、気持ちのいい晴天を期待しつつ。
(※こちらで画像とともに掲載をしています。
http://ameblo.jp/aurasoma-unity/entry-12206616489.html )
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鮎沢玲子(あゆさわ れいこ) プロフィール
有限会社「カラーズガーデン」代表。
英国オーラソーマ社公認ティーチャー。
栃木県宇都宮市生まれ 生家は染物屋を営む。
中学校美術教師を経て、インテリアコーディネータとして14年間
住宅メーカーに勤務。
2002年よりオーラソーマ・プラクティショナーとして独立開業。
2006年より公認ティーチャーとして活動中。
http://ameblo.jp/aurasoma-c-garden/
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