第518w号 鮎沢さん(30)「季節の色7」:紫陽花青
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■ 1.巻頭エッセイ:鮎沢玲子さんの
季節で楽しむ日本の色 Vol.6
≪【紫陽花青】あじさいあお≫ (2014,6/4)
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紫陽花といえば鎌倉が有名です。
梅雨といえば雨が連想されるので、観光客が少なくなりそうなもの
なのですが、ここ鎌倉では一年でもっとも観光客が多いのではない
でしょうか。
和尚アートユニティの近くにある美味しいお蕎麦屋さんも、ゴール
デンウィークに次いで最も人が並ぶのはこの季節です。
鎌倉の紫陽花といえば明月院が有名ですが、最近では長谷寺の方が
人が多いようで、タクシーの運転手さんから2時間待つのだと聞い
て驚きました。
鎌倉に住んでいると、ほとんど観光しないので知らなかったのです
が、本当かどうか混まない時間に見に行くと、行列用のロープが張
ってあり「2時間待ち」という表示までありました。
ネットで調べてみると、外人向けの観光ガイドのサイトに6月の鎌
倉の紫陽花について、写真入りで紹介してありました。
写真入りで、なかなかよく書けているのでご紹介します。
http://www.japan-guide.com/blog/sean/120618_ajisai.html
今回の鮎沢玲子さんの文中にあるように、紫陽花は別名「七色花」
「七変化」と呼ばれているだけあって、咲いているうちに色が変化
するだけではなく、さまざまな色の花がありますね。
明月院は青ないし紫の紫陽花が多いのですが、長谷寺はさまざまな
色の紫陽花が楽しめます。
また、ネットで見つけた紫陽花の写真を見ているだけでも楽しめま
すね。
http://goo.gl/ExttD2
この写真集のなかに寿司やラーメンの写真まであるのは、紫陽花と
いうメニューなのでしょうか。
梅雨の季節でも観光名所に変えてしまう紫陽花の魅力。
それでは、鮎沢玲子さんの季節で楽しむ日本の色 Vol.6≪【紫陽
花青】あじさいあお≫を、どうぞお楽しみください。
尚 記
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日本列島、南から梅雨入りのニュースが聞こえてくる季節です。
貴重な晴れの休日は、有意義に過ごしたいですね。
梅雨の季節の代表的な花といえば「紫陽花」です。
この漢字は当然あて字ですが、梅雨時期にそこだけ紫色のスポット
ライトが当たったように明るく感じる、なんともすてきな文字です。
前回の「虹色」がどの色と言えないように、紫陽花の色も変化する
ので特定の色を指すことができません。
でも「紫陽花青」という色名を見つけました。
(出典「定本 和の色事典」株式会社視覚デザイン研究所・発行)
http://amazon.co.jp/o/ASIN/4881082035/oshoartunity-22/ref=nosim
紫陽花は土質が酸性なら青みが強く、中性なら紫色に、アルカリ性
に近づくほど赤の色味が強くなります。
また、咲いているあいだにも花の色がさまざまに変化することから、
「七色花」「七変化」、さらには一部の地域で「七面鳥」(!)な
んて呼び方もされていたそうです。
でも、紫陽花は古くから日本にある日本原産の花。
『万葉集』のなかで、すでに紫陽花の文字が使われています。
この色に相当する名前がフランス語にもありました。
「ブルー・オルタンシヤ」(Bleu hortensia)
紫陽花が原産地の日本からヨーロッパに伝わったのは、ドイツ人医
学者シーボルトによるものだと言われています。
彼は日本の薬草を多数ヨーロッパに持ち帰って紹介しています。
日本人の植物学者たちとも篤い親交がありました。
彼は帰国後、膨大な植物標本や日本人絵師による細密な植物画を用
いて、本も出版しています。
海を渡った紫陽花はヨーロッパの植物園で気候に慣れさせ、やがて
園芸品種として広く定着していきました。
シーボルトの存在なしには、フランス語のこの色名は生まれなかっ
たかもしれません。
そう思うと、紫陽花が海外に進出して活躍している日本人女性のよ
うに見えてきます。
今年の梅雨入りはもう間近でしょうか。
有名な鎌倉の「明月院」をはじめ、日本には紫陽花の名所がたくさ
んあります。
美しい紫陽花青を求めて訪れてみたいものです。
ブルー・オルタンシヤの名前も、そっとつぶやいてみたりして。
(※こちらで画像付きで掲載をしています。
http://ameblo.jp/aurasoma-unity/entry-11870346267.html )
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鮎沢玲子(あゆさわ れいこ) プロフィール
有限会社「カラーズガーデン」代表。
英国オーラソーマ社公認ティーチャー。
栃木県宇都宮市生まれ 生家は染物屋を営む。
中学校美術教師を経て、インテリアコーディネータとして14年間
住宅メーカーに勤務。
2002年よりオーラソーマ・プラクティショナーとして独立開業。
2006年より公認ティーチャーとして活動中。
http://ameblo.jp/aurasoma-c-garden/
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