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巻頭エッセイ


第453号 鮎沢玲子さん(16)「日本の色-8」:桜色

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■ 1.巻頭エッセイ:鮎沢玲子さんの
       日本の色で学ぶオーラソーマ Vol.8 ≪ピンク≫ (2012,3/6)
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ひな祭りも過ぎて、いよいよ春ですね。

鎌倉ではクロッカスが黄色い花を咲かせ、チューリップも芽が出て、
どんな色の花を咲かせてくれるのか楽しみです。

そして、いよいよ桜の季節も間近です。

東京では、すでにいくつか花をつけている桜の木を見かけました。

桜の木といえば、昨年のNHKの大河ドラマにも登場し、鳥羽院の
北面の武士であり、出家し、また桜を愛してやまない漂泊の詩人で
もあった西行の歌が思い出されます。

ねがはくは 花のもとにて 春死なむ
                そのきさらぎの 望月のころ

如月の望月のころというのは釈迦の入滅の日でもあり、西行自身、
まさにその時節に亡くなったのは見事です。

桜の花は、その美しさととともに、命のはかなさと散り際のよさが
桜の花に例えられたりもして、桜の花は命の象徴でもあり、日本人
の死生観をも表しているようです。

もうひとつ私の好きな歌は一休道歌にもある歌で・・・

としごとに 咲くや吉野の山桜 木を割りて見よ 花のありかを

命は、目には見えないけれども、いつもそこにあって、私たちを生
かし続けているものです。

その命を感じるだけで、感謝と喜びが感じられ、桜を見ることは、
自分の内側の命を感じることでもありますね。

春の芽吹きとともに、美しい花を咲かせる桜は、命の象徴でもある
のでしょう。

だから、そのピンクの花を見るだけで嬉しくなってしまうのかもし
れません。

オーラソーマでは、レッドは生命力を表し、ピンクはそこに光が入
り、純粋な生命エネルギーを表します。

染や織の世界で第一人者でもあり人間国宝でもある志村ふくみさん
の著書に『一色一生』という本があります。

志村ふくみさんは数十年染色に取り組み、さまざまな植物の花、実、
葉、幹、根を染め、それらの植物から染まる色は、単なる色ではな
く、色の背後にある植物の生命が、色をとおして映しだされている、
と言います。

そして、シュタイナーの人智学に出会ってから、62歳でゲーテの
「色彩学」、シュタイナーの「色彩の本質」に関する研究を始め、
66歳で人智学による染色研究所「都機工房」を作った方でもあり
ます。

志村ふくみさんによると、淡いピンクの桜色を染めたいときに、桜
の木の皮をはいで樹液を採るそうなのです。しかも、春の時期のい
よいよ花を咲かせようとするタイミングの桜の木でないと、あのピ
ンク色は出ないのだとか。

「植物にはすべて周期があって、機を逸すれば色は出ないのです。
たとえ色は出ても、精ではないのです。
花と共に精気は飛び去ってしまい、あざやかな真紅や紫、黄金色の
花も、花そのものでは染まりません」

「色はただの色ではなく、木の精なのです」

「一色一生」より

色のなかに命が宿る。

そのことをオーラソーマでは「リヴィングエナジー」生きているエ
ネルギー、というふうに表現していますが、日本人はそのような自
然の色の命とともに生きてきている伝統があるのですね。

それでは、鮎沢玲子さんの、日本の色で学ぶオーラソーマ Vol.8
≪ピンク≫を、どうぞお楽しみください。

                           尚 記


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この色を取り上げるのは、絶対に春! と決めていました。
ピンクを日本の色名に置き換えるなら「桜色」です。

今年も桜の便りが届けられる季節が近づいてきました。

あるアンケート結果によると、日本人の最も好きな花は「桜」だそ
うです。

3月下旬から4月にかけて、日本列島を南から北に縦断する桜前線
は、出会いと別れの季節を鮮やかに彩ります。

桜の花を見ると、母に手を引かれ緊張した面持ちで入学式に向かっ
た、幼い日のことを思い出します。小学校の正門の両側には、大き
な桜の木が満開の花を咲かせていました。


桜の語源は、「古事記」に出てくる木花咲耶姫(コノハナサクヤヒ
メ)という説があります。

木花(コノハナ)が桜の花を意味し、「サクヤ」の音が「サクラ」
に転じたそうです。まるで桜の花が咲いたように美しい姫君、とい
うことでしょう。

木花咲耶姫は水の神様で、活火山である富士山を鎮めるために、富
士山本宮浅間大社に主祭神として祭られています。

また酒造の神様でもあります。日本酒の銘柄に「桜」がつくものが
多いのは単なる偶然ではなく、木花咲耶姫のご加護の賜物なのかも
しれません。

桜、木花咲耶姫、富士山、酒・・・なんだか連想ゲームのようです
が、花見の宴に行きつきます。

桜の木の下で花を愛でつつ、おいしい日本酒を酌み交わす。
できれば桜を見て歌を一首、なんて素敵です。


ここで「古今和歌集」から、紀有朋の歌を一首ご紹介します。

桜色に衣は深く染めて着む 花の散りなむのちの形見に

昔の人が桜を見て歌を詠んだように、現代の日本には桜をモチーフ
にしたポップミュージックがいくつも誕生し、毎年、春にはヒット
チャートに上がってきます。

今も昔も日本人と桜は、切っても切れない強い絆で結ばれているの
ですね。

オーラソーマのなかでも重要な位置を占める「ピンク」は、81番
のボトルの名前が示す通り「無条件の愛」の色です。

そう思うと、桜前線が日本列島を北上するとき、ピンク色の「愛」
のエネルギーがこの国を染めていくのです。


(※こちらで画像付きで掲載をしています。
 http://ameblo.jp/aurasoma-unity/entry-11484539586.html


       ………○…………○…………○………


鮎沢玲子(あゆさわ れいこ) プロフィール

有限会社「カラーズガーデン」代表。
英国オーラソーマ社公認ティーチャー。
栃木県宇都宮市生まれ 生家は染物屋を営む。
中学校美術教師を経て、インテリアコーディネータとして14年間
住宅メーカーに勤務。
2002年よりオーラソーマ・プラクティショナーとして独立開業。
2006年より公認ティーチャーとして活動中。
http://ameblo.jp/aurasoma-c-garden/

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