第535w号 鮎沢さん(34)「季節の色11」:柿渋色
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■ 1.巻頭エッセイ:
鮎沢玲子さんの季節で楽しむ日本の色 Vol.11
≪【柿渋色・柿色】かきしぶいろ・かきいろ≫ (2014,10/1)
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今日から10月。
すっかり秋の装いとなりました。
秋といえば柿。
和尚アートユニティでは、海外からのゲストを招くことも多いので、
ゲストたちの反応を見ていると、日本と海外の違いがよくわかるの
ですが、果物では柿は西洋人には珍しいらしく、干し柿などはけっ
こう好まれたりします。
柿は日本固有なのかと思いウィキペディアで調べてみると、東アジ
アの固有種で、特に長江流域に自生しているとのこと。
どおりで世界の柿の産出量は中国がダントツで世界の72%を占め
ており、そこからずっと下がって、2位と3位が韓国と日本でほぼ
同量の生産量。
そこからぐっと下がって、ブラジル、イタリア、イスラエル。
この上位6国で99.8%を生産していることになってます。
しかし、学名は「kaki」で、それは1789年に日本からヨーロッ
パに、1870年に北アメリカに伝わったからなのだそうです。
柿は英語では「パーシモン(persimmon)」ですが、語源はアメリ
カ東部のインディアンの言語で「干し果実」を意味する名詞「ペッ
サミン」で、先住民がアメリカカキの実を干して保存食としていた
ことに基づくとのこと。
渋柿を干して甘くするのは日本人の知恵と思っていたのですが、普
通に保存食として干し果実とするのは、どの世界も同じだったので
すね。
でも、日本のアイヌはその昔、カムチャッカ半島を経由して、アメ
リカ先住民と交易もあったようなので、それでアメリカに伝わった
のかもしれません。
とはいえ、柿渋を染め物に使い、その色の名前があるのは日本だけ
ではないでしょうか?
ちなみに、甘柿は渋柿の突然変異種と考えられており、日本特産の
品種なのだそうです。
それでは、鮎沢玲子さんの季節で楽しむ日本の色 Vol.11≪【柿
渋色・柿色】かきしぶいろ・かきいろ≫を、どうぞお楽しみくださ
い。
尚 記
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今日から10月。
どこからともなく金木犀のいい香りがしてきます。
秋、まっさかりですね。
郊外の住宅地や農家の庭先で、柿の実がつややかに色づいているの
を見ると、日本の秋の原風景のように感じます。
柿は日本に古くから存在した果物のひとつで、平安時代前期には各
地で栽培され、菓子として干し柿が作られていたそうです。
干し柿で思いだすのは、父方の祖母が生前よく作ってくれた「柿餅」
の味です。
ペースト状にした干し柿を、お米の粉で作った熱いお餅に混ぜて、
円筒形にしたものです。
しばらく置いてから輪切りにして焼いて食べるのですが、砂糖など
が入っていないのにとても甘くて、子どものころ大好きなおやつで
した。
たくさんの干し柿を使ったこのお餅を、祖母にしか作れない魔法の
お菓子のように感じていました。
町で生まれ育った私には、どうして渋柿が甘くなるのかと、田舎で
作る干し柿さえも不思議に思えました。
本来「柿色」とは、柿の実の色ではなく、柿の渋で染めた色のこと
でした。
現在は「柿渋色」といい、柿の実の色である「照柿」(てりがき)
のほうを「柿色」と呼んでいます。
「柿渋色」は、渋柿の実を青いうちに搾り、その液を2年あまり自
然発酵させた上澄み液を布や紙にぬって染めます。
こうして作られた「渋紙」(しぶがみ)には、母方の祖母の思い出
があります。
母方の家系は、代々染物屋を営んでいました。
反物の染め直しや洗い張りをするときに、渋紙でできた短冊のよう
な名札をつけます。
一方の先端をこよりのようにして、反物にあけた小さな穴に通して
結ぶのです。
渋をぬった紙は、強い耐久性を持つので、水や染料をくぐっても直
射日光を浴びても、びくともしません。
その渋紙の色が、まさに柿渋色でした。
今もこの鈍い赤茶色を見ると、渋紙独特の苦いような香りの記憶と
ともに、夜遅くまで針仕事をしていた祖母の姿が目に浮かんできま
す。
渋柿から生まれる甘い味と強い紙・・・。
どちらも大好きだった二人の祖母と私をつなぐ、柿の思い出です。
(※こちらで画像付きで掲載をしています。
http://ameblo.jp/aurasoma-unity/entry-11932828815.html )
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鮎沢玲子(あゆさわ れいこ) プロフィール
有限会社「カラーズガーデン」代表。
英国オーラソーマ社公認ティーチャー。
栃木県宇都宮市生まれ 生家は染物屋を営む。
中学校美術教師を経て、インテリアコーディネータとして14年間
住宅メーカーに勤務。
2002年よりオーラソーマ・プラクティショナーとして独立開業。
2006年より公認ティーチャーとして活動中。
http://ameblo.jp/aurasoma-c-garden/
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