第427号 鮎沢さん(10)「日本の色-2」:抹茶色
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■ 1.巻頭エッセイ:
鮎沢玲子さんの日本の色で学ぶオーラソーマ Vol.2
≪オリーブグリーン≫ 2012,09/05)
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もう9月に入ってしまいました。
今年もあと、残すところ4ヶ月。
今週の巻頭エッセイ:鮎沢玲子さんの日本の色で学ぶオーラソーマ
は≪オリーブグリーン≫です。
オリーブグリーンというのはオーラソーマでは比較的新しい色で、
91番の「フェミニンリーダーシップ」からです。
http://www.aura-soma.co.jp/products/equi/B091.html
とはいえ、カラーローズではイエローとハートのグリーン中間の色
なので、7番の「ゲッセマネ」のボトルなどは、振って混ぜればオ
リーブグリーンになります。
http://www.aura-soma.co.jp/products/equi/B007.html
ちなみに、この7番のボトルの名前「ゲッセマネ」の園というのは
オリーブの木が植えられた庭園のことをいうのですね。
聖書などでも「果樹園」といえばオリーブの木の果樹園であったり
します。キリストは祈るためにオリーブの山へ行きましたし、オリ
ーブオイルはキリスト教の象徴にもなり、神聖なオリーブオイルは
洗礼式においてはお清めのために使われます。
オリーブの木は、木が年老いて枯れても、根から新しい芽が出てき
て、再びオリーブの木に成長することができるのだそうで、オリー
ブの木や実はさまざまな象徴として語られます。
もともとギリシャの首都、アテネの由来はアテネ女神からのオリー
ブがポセイドン神からのプレゼントある水よりもより貴重だという
ことで選ばれたことにあり、オリーブは戦いと知恵の女神、アテネ
女神の神木とされています。
そして、オリンピック競技大会の勝利者には野生のオリーブの枝で
編んだ冠が贈られます。
旧約聖書では、ノアの洪水がおさまって、陸地が再びあらわれたか
どうかを調べるために箱舟から放れた鳩がオリーブの小枝を持ち帰
ったことから、オリーブをくわえた鳩は平和の象徴とされています。
また、オリーブの実は、そのままでは苦くて食べられないそうです
が、塩漬けにしたり、加工することで美味しくなりますし、オリー
ブオイルは、栄養価も高く、さまざまな効用を持ったものとされて
います。
ギリシャのお土産はオリーブの実ばっかりですし、イタリアではオ
リーブオイルは欠かせません。
驚いたことに、二千年、三千年と生きているオリーブ木があるとの
ことで、オリーブの木は数千年の経験と知識を携えているともされ
ています。
実際、私はポルトガルからスペイン、フランス、イタリアの地中海
沿岸を自転車をこいで旅したことがあるので、身をもってその風土
がわかるのですが、スペインでは6月で日中40℃~48℃にもな
り、そこにある果樹園はオリーブだけなのです。
しかも、高くはないけれども、しっかりとした幹を持ち、数百年ぐ
らいあるのだろうかと思わせる古木の趣を持った木なのです。
園芸店にある、ひょろっとしたやわいオリーブの木しか目にしない
日本とは大間違いでした。
そして、荒涼としたスペインから、水のあるフランスに入ると、急
にブドウ畑が広がるようになります。
ちなみに、オリーブオイル生産量世界No.1は、スペイン、No.2は
イタリア、No.3はギリシャなのだそうです。
このような風土と歴史のなかでこそ、オリーブはヨーロッパの国々
で意味を持つのであって、日本においてはオリーブはまた別の意味
があってもいいはずですね。
そこで、日本の色としてのオリーブグリーンは、どのような色で象
徴され、どのような意味があるのでしょうか?
そして、ヨーロッパのオリーブとはどのような共通性、また違いが
あるのでしょうか?
それでは、鮎沢玲子さんの日本の色で学ぶオーラソーマ Vol.2
≪オリーブグリーン≫ を、どうぞお楽しみください。
尚 記
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9月に入り、ようやく少し涼しくなりましたね。
今は「乙女座」の季節・・・今月は、乙女座のカラーである「オリ
ーブグリーン」を取りあげます。
多くの日本人にとって、オリーブグリーンという色の名前は、あま
り馴染みがないかもしれません。オリーブの実がどんな色なのか、
または生のままでは苦くて渋いことも、ほとんどの日本人は知りま
せん。
でも「抹茶」の苦味や、濃い緑茶の渋みは容易に想像できます。
むしろ抹茶の色や緑茶の色の方がイメージしやすいのではないでし
ょうか。
オーラソーマの色として「オリーブグリーン」を理解するのに、日
本的なモチーフとその色を思い浮かべることは非常に有効だと思い
ます。オリーブグリーンの色の言語には、日本人の感性にフィット
するものがたくさんあるからです。
たとえば、抹茶をいただく茶道とは時間の芸術、オリーブグリーン
の要素を持つ芸術と言えるでしょう。
茶の湯の世界では「一期一会」を大切にします。
たった一度の状況のなかで生まれる、たった一度の出会いは、まさ
にシンクロニシティであり、同じときは二度と来ない、この世界は
常に変化し続けるという「無常観」に通じます。
一般に茶道が行われるのは畳の上ですが、「畳」というのもまたペ
ールオリーブグリーンのような色をしています。
日本人のメンタリティのなかでは、畳の上で亡くなることはしあわ
せな人生の終わり方を意味するものです。ここで言う「畳の上」と
は、安住の地であり、落ち着ける場所です。
オリーブグリーンの意味する「楽園」に相当すると思いませんか。
そして畳の部屋(和室)というのは、あらゆる用途に対応できる部
屋です。家具を片付けてしまえば人が大勢集まれる広間になり、会
食もできるかと思えば、布団を敷くと寝室にもなります。
必要性に応じて変えることができる・・・これもオリーブグリーン
の「柔軟さ」と「受容性」につながります。
日本的な植物のひとつに苔がありますが、この「苔色」もオリーブ
グリーンに近い色です。日陰で、しかも生育に長い時間が必要な
「苔」こそ、「辛抱強さ」「人生での苦味・渋み」のイメージにふ
さわしい植物です。
もうひとつ、植物では「竹」もまたオリーブグリーンを思わせます。
竹の魅力はしなやかな強さです。軽くてよくしなる竹は、柔軟な女
性性の強さに通じます。
このように、日本的なもののなかにオリーブグリーンのメッセージ
が数多くあります。
あなたのまわりにあるオリーブグリーンのものをぜひ探してみてく
ださい。
きっと色の言語が、これまでより身近に感じられると思います。
(※こちらで画像付きで掲載をしています。
http://ameblo.jp/aurasoma-unity/entry-11346690925.html )
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鮎沢玲子(あゆさわ れいこ) プロフィール
有限会社「カラーズガーデン」代表。
英国オーラソーマ社公認ティーチャー。
栃木県宇都宮市生まれ 生家は染物屋を営む。
中学校美術教師を経て、インテリアコーディネータとして14年間
住宅メーカーに勤務。
2002年よりオーラソーマ・プラクティショナーとして独立開業。
2006年より公認ティーチャーとして活動中。
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