第440号 鮎沢玲子さん(13)「日本の色-5」:二藍
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■ 1.巻頭エッセイ:鮎沢玲子さんの
日本の色で学ぶオーラソーマ Vol.5 ≪バイオレット≫ (2012,12/05)
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12月になりました。
今年も余すところ1ヶ月足らずになってしまいました。
さまざまなことが起こり、異常気象といわれながらも、着実に月日
は過ぎ去り、季節は巡り、冬には冬の寒さが到来します。
オーラソーマの世界でも、さまざまなことが起こり、時代の波にも
まれながらも、普遍的な色の世界、ボトルの美しさがあるかぎり、
自分の魂を映しだす鏡として、さまざまな内面の世界を映しだして
くれるものとして存在してくれています。
和尚アートユニティでは、そのオーラソーマの世界をさまざまなか
たちで提供しています。
このたびは、シンクロニシティクラブの牧野内大史さんの協力を得
て、 オーラソーマのfacebookページができました。
あなたがfacebookをやっていらっしゃれば、ぜひ、アクセスしてみ
てください。
美しいボトルの写真やオーラソーマやタロットカードのメッセージ
を日々楽しんでいただけるようになっています。
このメルマガとともに、日常生活にオーラソーマを取り入れるひと
つの機会として楽しんでいただければ幸いです。
オーラソーマのfacebookページ
http://www.facebook.com/aurasoma.oau
また、前回メルマガでも紹介しましたOSHOアートのページも合わせ
て開設しました。
http://www.facebook.com/oshoartunity
さて、今週の巻頭エッセイは、鮎沢玲子さんの日本の色で学ぶオー
ラソーマはバイオレットです。
バイオレットはレッドとブルーの統合、男性性と女性性の統合、と
いうふうにオーラソーマでは学びますが、それはすでに日本の色の
言葉として、それが「二藍」(ふたあい)という言葉として存在す
るのですね。
日本の文化と歴史とともにその色を見ていくと、西洋の文化の色で
学ぶオーラソーマよりも、なにか身体に染み通っていくようななじ
み深さが感じられます。
やはり、日本人には日本の色が遺伝子として組み込まれているのか
もしれませんね。
今回もとても興味深い、含蓄のある鮎沢玲子さんの日本の色で学ぶ
オーラソーマ 。
Vol.5 ≪バイオレット≫をお楽しみください。
尚 記
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オーラソーマの授業では、まず「色の言語」を学びます。
それはオーラソーマのシステムにおいて木の幹のように基本的な部
分です。
オーラソーマはイギリスで生まれたものですが、私は以前から日本
人ならではの感性で「色の言語」をもっと深く探求できるのではな
いかと考えてきました。
そのようなことから、毎月連載中のこのコーナーでは、毎回「カラ
ーローズ」のなかの1色をピックアップし、日本の色名、歴史、文
化、季節感などと関連付けてお伝えしています。
さて、今回取り上げるのは「バイオレット」です。
セカンダリーカラー(二次色)であるバイオレットは、プライマリ
ーカラー(一次色)のブルーとレッドが混ざってできる色。
日本には、まさにこのことを言い表している色名があるのです。
それは「二藍」(ふたあい)という名前です。
平安時代から盛んに使われた伝統ある色名「二藍」の語源は、「二
つの藍で染めた色」から来ています。
ひとつめの藍は、藍染の染料となる藍草のことで、青い色に染まり
ます。もうひとつの藍は呉藍(くれのあい)で、中国から伝えられ
た染料を意味します。
当時、すでに呉の国はなくなっていましたが、中国伝来のものに
「呉」の文字を冠していました。そして染料のことを総称して「藍」
と呼んでいたのです。後にこれが紅(くれない)の語源になること
からもわかるように、赤く染まる紅花染料のことです。
二藍は、藍草(青)と呉藍(紅花の赤)を重ねて染めることで生ま
れる紫色です。
二つの色の配分によって、さまざまな紫色が得られますから、特定
の色を指してこれが二藍だとは言えないのですが、藤の花の色を少
し濃くしたような色あいが、特に平安時代には好まれていたようで
す。オーラソーマで言えば、56番のボトル「セント・ジャーメイン」
のようなペールバイオレットです。
古典文学『枕草子』の中で清少納言は、夏にこの色は涼しげで好ま
しい、というようなことを書いています。平安朝のトレンドリーダ
ー(?)であった彼女がそう書いているのなら、この時代の人々に
とって二藍は、ある意味で流行色だったのかもしれません。
そして、紫式部の『源氏物語』のなかにも、この色の名前が出てき
ます。
ところで、「冷静と情熱のあいだ」という映画が、今から10年ほど
前にあったのをご存知ですか? もとは1997年に二人の作家(江國
香織と辻仁成)によって連載が始まった小説が原作です。
同じ時系列に起こる出来事を、江國は女性主人公の目線で、辻は男
性主人公の目線で描き、連載は1回ごとに交代する、という斬新な
手法でした。
小説の連載が完結すると、江國のパートは赤い装丁で「Rosso(ロ
ッソ)」、辻のパートは青い装丁で「Blu(ブリュ)」という名前
がつけられて、別々の単行本として発売されたのです。
二藍はまさに冷静(青)と情熱(赤)によって染められた色です。
または男性性のブルーと女性性のレッドが混ざり合ってできる色。
でも、逆の解釈もできますね・・・ブルーが女性性の受容性や創造
性で、レッドが男性性の現実化する力のように。
いずれにしても人は生きていくなかで、女性であっても男性性を使
ったり磨いたり、また逆に男性であっても女性性を身につけたりし
ていきます。
生きるということは、ブルーとレッドを自分の中でひとつに統合し
ていくこと、自分のなかに全体(ホリスティック)を創造すること
です。
バイオレットを生み出す「二つの藍」が、あなたのなかで見事に統
合されますように。
(※こちらで画像付きで掲載をしています。
http://ameblo.jp/aurasoma-unity/entry-11420455828.html )
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鮎沢玲子(あゆさわ れいこ) プロフィール
有限会社「カラーズガーデン」代表。
英国オーラソーマ社公認ティーチャー。
栃木県宇都宮市生まれ 生家は染物屋を営む。
中学校美術教師を経て、インテリアコーディネータとして14年間
住宅メーカーに勤務。
2002年よりオーラソーマ・プラクティショナーとして独立開業。
2006年より公認ティーチャーとして活動中。
http://ameblo.jp/aurasoma-c-garden/
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