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巻頭エッセイ


第485w号 【パリさん】:カラーローズ—“誤解と正解”

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■ 1.【ぱりさんのオーラソーマ】:“誤解と正解” (2013,10/16)
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ときどき、幕あいに顔を出す、「オーラソーマ」をちょっと部外者
的な立場から眺めてみる【ぱりさん】シリーズです。^^;

オーラソーマのカラーローズを“全人間心理のカラーインデックス”
に見立てて、その内部的なダイナミクスを連想して楽しんでいます。

ちょっと理屈っぽいですが、常識だけでお付き合いいただければ、
案外、面白がっていただけるかもしれません。

前回辞書作成の過程で見えてきた風景を“誤解の坩堝(るつぼ)”
という記事にしてご報告しました。

ところで翻って考えてみると、この“誤解”という言葉は文字通り
“誤った理解”という意味ですよね。

ということは、“誤解”の反対の“正解(=正しい理解)”とか、
あるいは単純に“理解”が存在することになります。

当たり前ですよね。(^^;)

ところが、話が“人間心理”ということになると、どうも自然科学
や数学のような世界とは少し様子が違うような気もします。

ちゃんと丁寧に調べれば、誰がやってみても同じ“正解”にたどり
着くというわけでもないような。

考えてみると、人間心理の世界では、何が“誤解”で何が“正解”
かは、想像するほど単純ではないかもしれません。

算数・数学の問題なら、確かに正解はひとつでしょう。

だから【マルバツ式】でも出題できます。

でも例えば、「作者の気持ちを想像して20文字以内で書きなさい」
という国語の問題なら、正答と誤答は境目が曖昧ですよね。

【マルバツ式】というわけにも行かないかもしれません。

もっとも、採点を機械化するために意図的にいくつかの解答を用意
して、そのなかから正答を選ばせたりもしますけどね。(^^;)

出題者が前もって“正答”と“誤答”を用意するわけですよね。

でも、実際の世界は、学校の試験じゃないので、もちろん“正解”
と“誤解”はマルバツで解答できるほど単純じゃありません。

とはいえ、“人間心理”の世界だって、通常はそれほど感情的行き
違いもなく、まずまず穏当にコミュニケーションが流れます。

でもときには、“誤解”の結果とても大きな感情的行き違いが起こ
る場合もあります。

では、人間心理の世界で“誤解”って、どういうことでしょう?

まあ、相手の気持ちを“読み誤った”、ということでしょうかね。

“読み誤った”ので、出された信号に対して、大なり小なり相手が
期待したのと違った反応をしてしまった、と。

すると相手は、その多少なりとも“意外な反応”に、その人なりの
条件づけのなかで起こった反応を示した、と。

まあ、こういうのが人間心理の世界でいう“誤解”でしょう。

“言葉の行き違い”とでも言うんでしょうかね。

ところで、“誤解”を避けるって、できることだと思いますか?

じつは「カラーローズ」を眺め、“オーラソーマ辞書”を作ってい
るうちに、それはかなり難しいことだと思うようになりました。

“誤解”という言葉で何を意味するか、ということもありますが。

例えば、単純な例として、こんな会話があったとします。

【例1】
------------------------------
Aさん;いい天気ねぇ。

Bさん:ほんとね。
------------------------------

これなら、“誤解”の余地などないと思うでしょ。(^^;)

もちろん、Bさんは、Aさんの言葉の表面的な意味は“理解”して
います。

その意味では、たしかに“正解”です。

でももしかすると、このBさんの返答がAさんには違和感があった
とか、気に入らなかった、ということもあるかもしれないのです。

例えば、これがテレビドラマの台詞なら、前後の文脈や発音の仕方
で、どうとでも表現できるし、意味は千変万化するでしょうね。

言葉を少し変化させてみましょうか。

【例2】
------------------------------
Aさん;彼、いい人ね。

Bさん:ほんとね。
------------------------------

もちろん、これも【例1】と同じで、言葉の意味は理解されている
し、期待された会話は成り立っています。

でも、この台詞だけでは、Bさんが「彼」を、Aさんと同等に評価
しているかどうかはわからない、と思いませんか。

本当に良い人だと思って、Aさんに相槌を打っているのかもしれま
せんし、じつはそうは思っていないのかもしれません。

そしてそのことは、Aさんにも、わかっているかもしれませんし、
もしかすると、わかっていないかもしれません。

テレビドラマや映画なら、AさんやBさんの発音の仕方や表情次第
で、どんなニュアンスでも持たせられるはずです。

何をくどくど、pariさんわかりきったことを言ってるの、って思う
かもしれませんね。(^^;)

つまり、それくらい“人間心理”の世界は“言葉通り”ではない、
ということが前提になっているわけです。(*^_^*)

若者言葉に「KY」というのがあるのをご存知でしょ。

「空気が読めない」という意味だと知って驚いたことがあります。

日本はそれくらい「空気を読む」能力が重要な世界です。

日本にかぎらず、交わされている言葉は必ずしも文字通りの意味で
はないというのは、ある程度人間世界の常識です。

「アスペルガー症候群」という言葉をごぞんじですか?

“自閉症スペクトラム”の一種だそうですが、知的障害や言語障害
ではありません。

------------------------------------
 アスペルガー症候群(Asperger Syndrome, AS)は、興味・コミュ
 ニケーションについて特異性が認められる広汎性発達障害である。
 興味の面では、特定の分野については驚異的なまでの集中力と知
 識を持ち、会話の面では、聞かれたことに対して素直に答える
 (「空気を読む」などの行為を苦手とする)、といった特徴を持つ。
       http://ja.wikipedia.org/wiki/アスペルガー症候群
------------------------------------

他者の気持ちの推測力の面で普通ではない、というのです。

言い換えると、ズバリ“人の言葉を文字通りに受け取ってしまう”
人のことです。

人の言葉を“文字通りの意味”で受け取ってしまうと、それは障害
だというのですから、これはもう何をか言わんやです。(*^_^*)

でも、通常期待されるコミュニケーションがうまくいかない以上、
これは障害と言わざるをえません。

以前テレビで、ある職場でのアスペルガーの方への対応を見たこと
がありましたが、配属する職種などで対処されていました。

人間は、対象や状態を的確に表現するために言葉を発明しました。

しかし今度は、的確すぎて他人を傷つけるのを避けるために、婉曲
表現など色々複雑な言葉の使い方を発達させたわけです。

そのため“人間心理”の世界では、人は大なり小なり他人の言葉の
意味を“推察”しなければなりません。

でもどんなに触覚を洗練しても、ある意味では洗練すればするほど、
それは小さな“誤解”を拡大して見るのと同じことにもなります。

けっして理屈の話ではなく、ごく普通の日常的な風景です。

若い方々が携帯で飛び交う信号の一語一語にどれほど敏感に反応し、
どれほど細かく一喜一憂していることか。

一瞬一瞬、傷つくべきかどうかの判断で揺れ動いているわけです。

言葉として発される信号を理解する基盤(条件づけ)も、理解した
い方向(DNA)も、一人ひとりまったく違うのに。

ご存知のように、オーラソーマの「カラーローズ」は“人間心理”
の主要な心理傾向を、十二方位の色相で代表させます。

ボトルの下層の色を獲得した智慧(心理傾向)、上層の色を願った
智慧(方向性)とすれば、ボトルは人格類型にもなりえます。

例えば、過去世でどのような智慧を獲得し(下層の色)、今度はど
んな領域の智慧(上層の色)を願っているか、というふうに。

   ■
 ┏┛┗┓
 ┃  ┃←上層12色
 ┠──┨       ⇒組み合わせは144人格パターン
 ┃  ┃←下層12色
 ┗━━┛

その“人格類型”を一本の矢印で表現すれば、時計の文字盤の12時
の点から、それぞれ12方向に向かう144本の矢印になります。

図示はできませんが、それぞれが心理傾向表す12の点から別の一点
への縦横の矢印で、文字盤が覆われることは間違いないでしょう。


          全体への視界
           独存の平和
           (ブルー)
    明晰な視界          直感の信頼
    自尊と決断          伝達への楽観
   (ロイヤルブルー)       (ターコイズ)
 
  生存への違和             見晴しへの願望
  超越への希求             受容と調和
 (ヴァイオレット)           (グリーン)
 
 顕現からの超越              協調への意志
 生命への全肯定      ・       許容と配慮
 (マジェンタ)             (オリーブグリーン)
 
  生命への熱情             個別への意志
  欲望と安定              自尊と不安
  (レッド)              (イエロー)
 
    無償の愛           自立への希求
    報われぬ愛          智慧と恐れ
    (コーラル)         (ゴールド)
           創造への賛歌
           帰属と献身
           (オレンジ)


一本一本の矢印は、言葉を発し、また発された言葉を理解しようと
するベクトル(個人)を表しているとも言えます。

これで“誤解”が起こらなければ、その方が不思議ですね。

こんな状態のなかに、“正解”ってありえるんでしょうか?

個々人の心理傾向はすべて、良かれと願った“欲望”から派生した
心理ばかりだというのに。(;_;)

この事態を率直に受け容れれば、“理解”というのは言葉の理解の
レベルで起こることではない、という気がしてきませんか。

人が人を“理解”するってどういうことなんでしょうね。

次に機会があったら、また「カラーローズ」を別の視点から眺めて、
勝手な連想を楽しませていただくかもしれません。

いつもお断りしているとおり、これは「オーラソーマ」で認定され
た見解ではありません。

「オーラソーマ」がゲーテの色彩論から引き継いだ「カラーローズ」
という素晴らしいツールに触発された、まったく自由な立場からの
連想です。

お付き合いいただき、ありがとうございました。<(_ _)>

                          pari 記


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