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巻頭エッセイ


第401号 鮎沢玲子さん(4)「日本の色」:桃色

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■ 1.巻頭エッセイ:鮎沢玲子さんの「日本の色」Vol.4
                 ≪【 桃 色 】ももいろ≫ (2012,03/07)
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鎌倉では雪が積もって雪かきをしたのはつい先週でしたが、今日は
和尚アートユニティの玄関先にゴールド色のクロッカスが花を咲か
せていました。春ももうすぐそこですね。

今週の巻頭エッセイ、鮎沢玲子さんの「日本の色」Vol.4 は、そ
の春にちなんで「【桃色】ももいろ」です。

ずいぶん前になりますが、東名高速を走っていたときに、山梨県を
通り過ぎると、山間(やまあい)一面に桃の花が咲いて、桃色の花
とともに春の陽気が匂い立ち、「桃源郷」とはこういう風景を言う
のだろう、と思ったことがありました。

桃の種には強い生命力が宿り、インターフェロンも含まれていると
いうことで、ガンの特効薬になる秘薬だと東洋医学に詳しいお医者
さんから教わったことがあります。

桃のなかのクルミのように堅い種を割って、その種のなかにある核
を取り出して、数日直射日光に当てて日干しするのです。

そして、からからに干からびて平べったくなった種の核を、ある種
のアルコールに漬けるとアーモンドのように丸く膨らみます。

すると、桃の核の成分がアルコールに溶け出すのだそうです。
そして桃の核の成分が溶けた液体を飲みます。
まさに秘薬という趣があります。

桃から生まれた桃太郎の鬼退治のお話も、桃にはそういう悪いもの
や病気なども退治してしまうパワーがあるということを表している
のかもしれません。

『古事記』にはイザナギノミコトが黄泉の国から逃げ帰る際に、追
って来た黄泉の魔物たちに黄泉比良坂(よもつひらさか)で3個の
桃を投げて撃退したエピソードがあり、桃はイザナギから神名・大
神実命(オオカムヅミノミコト)を与えられ、桃太郎神社の祭神と
なったというのも、なにか面白いつながりを感じます。

桃にはなにか、そのような死に至る病をも治してしまう不思議な生
命力があるのかもしれませんね。

オーラソーマでは、桃色のことをピンクと言いますが、日本人にと
っては「桃色」ということで、あの口いっぱいに広がる桃のみずみ
ずしい甘さとともに、桃にまつわるさまざまな古代からの感覚や記
憶がよみがえります。

ピンクというより「桃色」で、日本文化にまつわる記憶と感覚が呼
び覚まされる感じがしますね。

それでは、鮎沢玲子さんの「日本の色」Vol.4、≪【 桃 色 】
ももいろ≫をお楽しみください。

                           尚 記


       ………○…………○…………○………


【 桃 色 】ももいろ

『灯りをつけましょ 雪洞(ぼんぼり)に
                お花をあげましょ 桃の花』


三月三日は雛祭りでしたね。

「桃の節句」といわれるとおり、雛人形と桃の花を飾って女の子の
成長を祝います。

古来中国では、桃には邪気を祓う力があると考えられていました。

日本においても『古事記』のなかに、イザナギノミコトが桃の実で
魔物を退治した話などが書かれています。

雛祭りは、もともと「上巳(じょうし)の節句」と言い、五月の
「端午の節句」と同様、五節句のひとつでした。

三月上旬、巳(み)の日に、紙やわらで作った人形に災いや穢れを
移し、邪気を祓ったのが始まりといわれます。

その人形を川などに流す風習が、「流し雛」として今も残っていま
すが、やがて江戸時代あたりから、雛人形を飾るようになりました。

桃は桜と並び、私たち日本人には春の花としてなじみ深いもので、
どちらもピンク色です。

「桃色」は、桃の花の色からついた名前で、「桜色」に比べて色味
が濃いのが特徴です。

オーラソーマに例えれば、ちょうど「桃色」がピンクなら、「桜色」
がペールピンク、といったところでしょう。

桜の魅力は、散り際の見事さゆえに生まれる、はかなさかもしれま
せん。

それは「ピンクの強烈化=ペールピンク」に通じるものがあります。

一方、桃には花を咲かせることによって、豊かに実を実らせる・・・
そんな現実的な力強さがあります。

はかないペールピンクの「桜」に対して、濃いピンクの「桃」の方
が、よりグラウンディングしているイメージです。

オーラソーマと同様に日本の色の世界でも、桜色と桃色は同じ薄紅
色ながら、色の濃淡の違いがそれを見事に物語っています。

そして、ピンクは紛れもなく「女性性」の色。女の子の健やかな成
長を祝う雛祭りと桃の花のピンクは、もっともな組み合わせと言え
ます。


最後に・・・『万葉集』の中にこんな歌があります。

「春の苑 くれないにほふ 桃の花

    した照る道に 出で立つ をとめ」


くれないに咲き誇る桃の花。その色が照り映える道に立つ、少女の
姿が目に浮かぶようです。

春爛漫の景色ですが、その立ち姿には生きるエネルギーがみなぎっ
ています。

現代の乙女たちが邪(よこしま)なものから守られ、それぞれに人
生の果実を実らせますように。


       ………○…………○…………○………


鮎沢玲子(あゆさわ れいこ) プロフィール

有限会社「カラーズガーデン」代表。
英国オーラソーマ社公認ティーチャー。
栃木県宇都宮市生まれ 生家は染物屋を営む。
中学校美術教師を経て、インテリアコーディネータとして14年間
住宅メーカーに勤務。
2002年よりオーラソーマ・プラクティショナーとして独立開業。
2006年より公認ティーチャーとして活動中。

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