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巻頭エッセイ


第864号 鮎沢さん(83)「季節の色59」:紅緋

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■ 1.巻頭エッセイ:
    鮎沢玲子さんの季節で楽しむ日本の色 Vol.59
                ≪【紅緋】べにひ≫ (2018,11/7)
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急に肌寒い季節になりました。

火が恋しくなる季節です。

昔ならこたつや火鉢があって、火をくべたりしながら
暖を取っていたので、炎の暖かさがありましたが、
最近はスイッチひとつで部屋が暖かくなるようになりました。

でも、柿やミカン、リンゴなどの秋から冬にかけての果物は
オレンジや赤などで、なんとなく寒い季節に手に取って
食べたくなるような、目に暖かい色をしているのは不思議です。

これがブルーや白などの寒色系だとあまり食べたいと
思わないかもしれません。

今回の季節で楽しむ日本の色は紅緋(べにひ)色。

英名は「スカーレット」なんだそうです。

スカーレットというと、「風と共に去りぬ」のスカーレット・
オハラを思い浮かべますが、彼女を色で表すと、まさに
この紅緋(べにひ)色っていうイメージがぴったりな気がします。

この「緋」という文字を見るとホーソンの「緋文字」という
小説を思いだします。

姦通の罪により緋色のAの文字を胸につけさせられて暮らす人妻と、
その相手の牧師と夫をめぐる人間関係を通して、愛と罪と
信仰の問題を、その人間模様と心理描写で描いているのですが、
それが、その「The Scarlet Letter」という「緋文字」の
色と文字に象徴されているのは見事です。

ひとつの色から、季節だけではなく、さまざまな物語、
人生模様が展開し、広がってきます。

それでは、鮎沢玲子さんの季節で楽しむ日本の色 Vol.59
≪【紅緋】べにひ≫を、どうぞお楽しみください。

それでは、今日もすてきな一日を!
Have a nice day.

尚 記


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11月になるとすっかり秋も深まり
「晩秋」という言い方がしっくりきます。

私の住む関東地方でも暖房が恋しい時期となりました。

この時期に使いはじめる暖房器具といえば
「こたつ」を思いだします。

子どものころに私の実家でこたつを出すのは、
地元、宇都宮二荒山神社の「菊水祭」という
お祭りの時期と決まっていました。

「菊水祭」は毎年10月最終の土日曜日に開催され
(今年は10月27・28日でした)、
古式ゆかしい神輿(みこし)行列や
流鏑馬(やぶさめ)が行われます。

流鏑馬とは、武者の装束で馬に乗り、
走りながら弓矢を使って的を射る勇壮な神事です。

子どものころの記憶では、
そのお祭りの提灯が市内の大通りに飾られると、
家ではこたつを出す準備をしていました。

学校から帰ってくると居間にこたつが出ていて、
何か嬉しかったのを覚えています。

ときには真新しいこたつ布団だったり上掛けだったりすると、
ますます嬉しくてまっさきにこたつに入っていました。

ところで江戸時代には「こたつ開き」なる日が
決められていたことを知りました。

旧暦の10月で初亥(はつい)の日と
決まっていたそうです。

これには理由があります。

10月というのは「亥の月」で、
「亥」は五行で「水の気」に属します。

「初亥の日」とは、12日ごとにめぐってくる
「亥」が、その月に初めて来る日のことです。

当時、江戸の町は火災が多く、水の気の月の、
水の気の日にこたつ開きをすれば、
その年の冬は火災に遭わずに済む、という縁起担ぎです。

「水の気が、火の気を剋する」という五行思想から、
この習わしが生まれたのです。

ちなみに今年2018年の旧暦
「亥の月」「初亥の日」は11月3日です。

え〜っ、もう過ぎてしまったじゃないかと思った方は、
2度目の「亥の日」が11月15日で、この日でもいいそうです。

もし江戸の習わしに合わせてみたいなら、
15日にこたつを出してみてはいかがでしょう。

現在では、こたつの熱源は電気のヒーターですが、
昔は練炭や木炭、豆炭などで火を起こして
暖をとっていました。

だから漢字で「炬燵」と書くのですね。

ここで、今回取り上げる日本の色は
「紅緋」(べにひ)です。

赤い色を表す「緋色」の語源は「火色」

暗いこたつのなかで、
炭火が赤く光っているのを連想しました。

江戸時代、「緋色」の染色方法は、
クチナシの黄色で下染めし、
その上に蘇芳(すおう)で赤を染めていました。

オーラソーマで言えばヒューのコーラルのような色。

少しオレンジがかった赤色です。

この緋色のさらに冴えた黄色みがあるものを
「紅緋」といいます。

巫女さんの袴に見られるような鮮やかな色です。

寒い季節になるとこんな色が目に赤々と映り、
そこに火がともったように暖かさを感じます。

(※こちらで画像とともに掲載をしています。
 https://ameblo.jp/aurasoma-unity/entry-12416544095.html


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鮎沢玲子(あゆさわ れいこ) プロフィール

有限会社「カラーズガーデン」代表。
英国オーラソーマ社公認ティーチャー。
栃木県宇都宮市生まれ 生家は染物屋を営む。
中学校美術教師を経て、インテリアコーディネーター
として14年間住宅メーカーに勤務。
2002年よりオーラソーマ・プラクティショナー
として独立開業。
2006年より公認ティーチャーとして活動中。
http://ameblo.jp/aurasoma-c-garden/


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