第810号 鮎沢さん(73)「季節の色49」:藤黄
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■ 1.巻頭エッセイ:
鮎沢玲子さんの季節で楽しむ日本の色 Vol.49
≪【藤黄】とうおう≫ (2018,1/3)
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あけましておめでとうございます。
新しい年のはじまりです。
2018年も「季節で楽しむ日本の色」をこうしてお読みいただける
ことを嬉しく思います。
今年もよろしくお願い申し上げます。
お正月にふさわしく、縁起の良い花の話題を取りあげたいと思います。
真冬の寒さのなか、雪の下から花をのぞかせる「福寿草」(ふくじゅ
そう)は、春を告げる花としてよく知られています。
日本では北海道から九州までの広い範囲に分布し、山林などに自生
しています。
名前からもわかるように、縁起の良い花としてお正月の時期などに、
鉢植えになったものをよく見かけます。
寒さで茎は伸びず、鮮やかな黄色い花だけが短い茎の上にポンポン
と咲きます。
ちょうどお正月ごろに咲くので、別名「元日草」(がんじつそう)
「朔日草」(ついたちそう)とも呼ばれます。
同じくこの時期に咲く花として「?梅」(ろうばい)が思いだされ
ます。
何年か前のこと、初詣に行こうとしましたが、元日の神社はどこも
混雑しているので、珍しくお寺にお参りしたことがありました。
こちらはほとんど人がおらず、静かななかで新年の参拝ができました。
お寺の庭を散策していたら、どこからともなく甘い良い香りがして
きました。
香りのするほうをたどってみると、?梅の黄色い花が満開だったの
です。
真冬の寒さのなか、鮮やかな黄色がそこだけ光を集めているようで、
思わず近寄って花びらに触れました。
まるで?(ろう)で作られたような不思議な透明感がある花です。
また、この花の名前の由来は、旧暦12月に咲くところからついた
という説もあります。
旧暦12月を「臘月」(ろうげつ)と呼ぶことから、こちらの「臘」
の文字を使うこともあるようです。
きっと一生に一度も書く機会がないような(笑)難解な漢字ですね。
福寿草も?梅も、鮮やかな黄色です。
真冬の花の少ない時期、健気に私たちを楽しませてくれるこの黄色
にふさわしい色名はないかしら、と探してみました。
イメージに近い色で「藤黄」を見つけました。
「藤黄」は『正倉院文書』にある「同黄」(どうおう)と同じもの
で、歴史ある色名です。
「草雌黄」(くさしおう)という植物から採取できる顔料が「藤黄」
で、その色にちなんでいます。
奈良時代には前述の『正倉院文書』に記載があり、その後は日本画
の絵の具に用いられ、漆器の春慶塗の深い黄色にもなりました。
江戸時代には友禅染で欠かせない顔料でもあり、明治時代以降も
日本画や洋画の絵の具として、この色名が広く使われています。
連綿と続いてきた、由緒正しき黄色なのです。
オーラソーマのシステムで「イエロー」は喜びや楽しさ、笑いや
ユーモアを表します。
つつがなく新年を迎えられたことを心から喜び、笑顔でいられる
この瞬間がまさにイエローです。
新年おめでとうございます。
この幸せを忘れず2018年も過ごしていきます。
(※こちらで画像とともに掲載をしています。
https://ameblo.jp/aurasoma-unity/entry-12340441542.html)
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鮎沢玲子(あゆさわ れいこ) プロフィール
有限会社「カラーズガーデン」代表。
英国オーラソーマ社公認ティーチャー。
栃木県宇都宮市生まれ 生家は染物屋を営む。
中学校美術教師を経て、インテリアコーディネータとして14年間
住宅メーカーに勤務。
2002年よりオーラソーマ・プラクティショナーとして独立開業。
2006年より公認ティーチャーとして活動中。
http://ameblo.jp/aurasoma-c-garden/
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