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巻頭エッセイ


第672号 鮎沢さん(56)「季節の色33」:承和色

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■ 1.巻頭エッセイ:
     鮎沢玲子さんの季節で楽しむ日本の色 Vol.33 (2016,9/7 水)
                   ≪【承和色】そがいろ≫
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鎌倉はまだ蝉の声も聞こえ、夏の暑さが残っています。

でも旧暦では、もう菊の季節。

そんな菊の色にちなんだ日本の色が ≪【承和色】そがいろ≫

どんな色なのか、名前からは想像もつかないですよね?

それでは、鮎沢玲子さんの季節で楽しむ日本の色 Vol.33
≪【承和色】そがいろ≫を、どうぞお楽しみください。

                           尚 記


       ………○…………○…………○………


承和色は黄色い菊の花からついた色名です。

とは言え、名前からこの色は想像できませんね。

日本の色の名前は、はっきりしているだけでも1000色は存在する
そうです。

しかしこのように、名前を聞いても色が思い浮かばないものもあります。

どんな由来でこの名前がついたのか、今回は菊の季節にちなんで
ちょっと探ってみましょう。


9月9日は「重陽(ちょうよう)の節句」と言って、5つある節句
のひとつです。

5つ、それぞれには植物が割り当てられています。

1月7日は「七草」、3月3日はひな祭りで「桃」の節句、5月5日
が「菖蒲」、7月7日は七夕で「笹」、そして9月9日の重陽が
「菊」の節句です。

この9月9日とは旧暦のものなので、今の暦(新暦)では10月中旬
ごろに相当し、ちょうど菊の花が見ごろとなります。


重陽とは「陽」が重なる、そして最も重い(大きい)「陽」の意味です。

中国から伝わった陰陽の考え方では、奇数を陽、偶数を陰として
いました。

9は最も大きい陽の数となり、それが重なるので、この名がつきました。


第54代天皇「仁明(にんみょう)天皇」は、都を平安京に移した
桓武天皇の孫に当たります。

漢学や文学、書を愛した聡明な天皇であったとのこと。

そして、ことのほか黄色の菊を愛したそうです。

宮中に黄色の菊をたくさん植えるように命じたり、衣装をこの色で
染めたりして、在位中には巷でも黄色が大流行したほどでした。

在位中の年号が「承和」(しょうわ)だったため、菊のような黄色
を「承和色」と呼ぶようになりました。

黄色の菊を「承和菊」と呼んだりもしたそうです。

そして、「しょうわ」の読み方がだんだん変化して「そが」と
なったそうです。


年号で承和の期間とは、平安京遷都からしばらく後の834年~
848年までです。

幼いころから病弱だった仁明天皇は、わずか40歳で崩御しますが、
色の名前として、その行いが現在にも残っているなんて、歴史の
ロマンを感じます。


まもなくやってくる菊の季節。

黄色の菊を見かけたら、1200年前の平安京の庭が、黄色で
埋めつくされている秋の様子を、ちょっと思い浮かべてしまうかも
しれません。

(※こちらで画像とともに掲載をしています。
 http://ameblo.jp/aurasoma-unity/entry-12197584795.html


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鮎沢玲子(あゆさわ れいこ) プロフィール

有限会社「カラーズガーデン」代表。
英国オーラソーマ社公認ティーチャー。
栃木県宇都宮市生まれ 生家は染物屋を営む。
中学校美術教師を経て、インテリアコーディネータとして14年間
住宅メーカーに勤務。
2002年よりオーラソーマ・プラクティショナーとして独立開業。
2006年より公認ティーチャーとして活動中。
http://ameblo.jp/aurasoma-c-garden/


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