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巻頭エッセイ


第544w号 鮎沢さん(36)「季節の色13」:香色

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■ 1.巻頭エッセイ:
     鮎沢玲子さんの季節で楽しむ日本の色 Vol.13
                    ≪【香色】こういろ≫ (2014,12/3)
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今年も12月に入り、最後の1ヶ月。

今年はどのような1年だったでしょうか。

今月の季節で楽しむ日本の色。

香りを色として楽しむ、あるいは色を香りとして楽しむというのは、
前回にも書いた、共感覚と通じるところがありますが、今回の鮎沢
さんのエッセイを読んでいると、日本の文化の豊かさを感じ、この
日本に住むことの幸せを感じさせられます。

それでは、鮎沢玲子さんの季節で楽しむ日本の色 Vol.13≪【香色】
こういろ≫を、どうぞお楽しみください。

                           尚 記


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香色とは、高価な香料であった丁子(クローブ)を、煎じた液で染
めた淡い茶色です。

芳しい香りが布にしみ込み、染めたあと、しばらく匂いを楽しむこ
とができたそうです。

その香りは、まさに自然からの贈りもの・・・なんとも風流ですね。


平安時代、貴族階級の間では、着物に香を薫(た)きしめる習慣が
あり、香色ではその手間が省けたのかもしれません。

香色は色そのものに派手さはありませんが、高価な丁子の香りのイ
メージと相まって、奥ゆかしい優雅な色として尊重されました。


平安時代には、十二単と呼ばれるように、女房の装束は何枚もの衣装
を重ねていました。

襟元や袖口、裾など、布が重なったところに見える色のグラデーシ
ョンや対比で、四季折々の自然を表現しようとしたのです。

また、着物のうえに薄く透き通るような薄絹を重ね着して、下の布
を透かしてできる微妙な色調を楽しんだりもしています。


これを「襲(かさね)の色目」といい、それぞれの配色には季節の
花々や木の葉の色になぞらえた名前がつけられています。


その「襲の色目」のなかに、晩秋から初冬にかけて着用する「落栗」
(おちぐり)という組み合わせがあります。

表が蘇芳(すおう)、裏が香色です。

蘇芳とは紫がかった暗い赤色をしています。


秋には鮮やかだった紅葉も地面を覆う落ち葉となり、次第に色を失
いながら、やがて静かに朽ちていきます。

そんな諦めに似た静けさが香色で表現されています。


香色の朽葉のうえには、もう栗拾いの時期はとうに過ぎたのに、忘
れ去られたように、ぽつんところがっている蘇芳色の栗の実。

「落栗」を見ると、そんな初冬の情景が浮かんできます。


香道では、香りを「嗅ぐ」とは言わずに「聞く」と言うそうです。

匂いに問いかけ、その答えを聞くということなのです。


12月になると「冬の匂い」がします。

私にだけわかる、懐かしいような少しもの悲しい匂いなのです。

今日は心を静かにして冬の香りに問いかけてみようと思います。

(※こちらで画像付きで掲載をしています。
 http://ameblo.jp/aurasoma-unity/entry-11960037798.html


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鮎沢玲子(あゆさわ れいこ) プロフィール

有限会社「カラーズガーデン」代表。
英国オーラソーマ社公認ティーチャー。
栃木県宇都宮市生まれ 生家は染物屋を営む。
中学校美術教師を経て、インテリアコーディネータとして14年間
住宅メーカーに勤務。
2002年よりオーラソーマ・プラクティショナーとして独立開業。
2006年より公認ティーチャーとして活動中。
http://ameblo.jp/aurasoma-c-garden/


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