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巻頭エッセイ


第409号 鮎沢玲子さん(6)「日本の色」:縹色

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■ 1.巻頭エッセイ::鮎沢玲子さんの「日本の色」Vol.6 (2012,05/02)
                ≪【 縹 色 】はなだいろ≫
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今週の巻頭エッセイは、鮎沢玲子さんの「日本の色」縹色(はなだ
いろ)。

初めてこの言葉を知りました。

日本の色に対する言葉はとても繊細で豊富ですね。

鮎沢玲子さんの「日本の色」からは、これまでのオーラソーマの視
点のなかに、さまざまな色の奥深さ、文化、日本人の色に対するこ
まやかさ、繊細さを感じます。

縹色(はなだいろ)

初めて知る色だったので、自分でもwikipediaで少し調べてみると、
もともとは露草色(つゆくさいろ)という別名もあるのですね。

もともとは露草の花弁から搾り取った汁を染料として染めていた色
をさしていたとのことで、この青は非常にあせやすく、水で消えて
しまうので、あせにくい藍で染めた色になったというような経緯が
あるようです。

露草というと、なにか露のようにうつろいやすいというイメージが
ありますが、色も同じようにうつろいやすいというのは風情があっ
ていい感じです。
でも、現実に色がすぐにあせてしまうのは、やはり不都合だったの
ですね。

日本人にとって、色は自然の色であり、自然の季節やうつろいとと
もにあり、日本人の生活と密着し、それらの色によって日本人の感
受性も養われていったのです。

同じ縹色でも深縹、中縹、次縹、浅縹、白縹と微妙に段階があると
いうのも、日本人の感性の高さを思わせます。

日本の製造業のレベルの高さは、まさにこのような感性の高さによ
って培われているのでしょう。

それでは、鮎沢玲子さんの「日本の色」Vol.6 縹色(はなだいろ)
をお楽しみください。

                           尚 記


       ………○…………○…………○………


縹色(はなだいろ)とは、青色の古い名前です。

古くは藍で染めた青色の総称のように用いられ、浅縹(あさはなだ)、
深縹(こきはなだ)のように色の濃淡を区別していました。

青色の中でも縹色は、藍の染料だけで染められたくすみのない純正
さを持っています。


昨年末に急逝された映画監督の森田芳光さん。
2007年のことですが、45年ぶりに黒澤明監督の映画「椿三十
郎」をリメイクしました。

オリジナルの黒澤作品はモノクロでしたが、森田監督による新作は
カラーでした。

上司の汚職を暴こうとする九人の若侍衆は劇中で「青侍」と呼ばれ
ています。

映画を見た私は「うわっ、本当に青いわ!」と思わず笑ってしまい
ました。

揃いも揃って、皆同じような青い着物を着ていたのです。

「青」は青二才のように未熟さを表現するときに用いられますが、
映画では純粋な忠誠心も表していたかもしれません。


オーラソーマの観点から見ても、ブルーは物事を受け入れる受容性、
従順さ、信頼などを意味します。

学校や会社の制服に、ブルーがよく用いられるのはこのためです。


中国の思想である陰陽五行で、青は「木気」、方角なら「東」で、
季節は「春」に相当します。

一日は東から太陽が昇ることに始まり、一年は春という季節から始
まり、人間に例えれば、青は人生が始まったばかりの若者というこ
とになります。

「青春」という言葉も、これに由来しています。


一方、青侍たちを束ねて活躍するヒーローの椿三十郎は、くすんだ
レッドのような小豆色の着物です。

色のメッセージとして考えてみると、レッドは行動力やエネルギー、
そこに渋さや成熟した大人の余裕がプラスされていると言えます。


この季節、縹色のような晴れ渡った五月の空を見て、ため息をつい
ている若者がいるかもしれません。

現代の青侍である新社会人にはつきものの「五月病」

英語では憂鬱を「ブルーな気分」と表現するように、ブルーは悲し
みや落胆を表す色でもあるのです。


青の旧字体とその由来を調べてみたら、上半分は「生」で下の部分
は「丹」でした。

「生」は木を表し「丹」は朱赤の意味。

つまり「青」は植物が成長し、五行で言う「朱夏」・・・レッドに
つながっていく可能性を物語っていたのです。

ブルーの中にあるレッドを意味する文字は、若さの中に成熟への種
が眠っていることを教えてくれています。


縹色のような時期は短い・・・日々を大切に生きてほしいと思いま
す。

(※こちらで画像付きで掲載をしています。
 http://ameblo.jp/aurasoma-unity/entry-11238864363.html


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鮎沢玲子(あゆさわ れいこ) プロフィール

有限会社「カラーズガーデン」代表。
英国オーラソーマ社公認ティーチャー。
栃木県宇都宮市生まれ 生家は染物屋を営む。
中学校美術教師を経て、インテリアコーディネータとして14年間
住宅メーカーに勤務。
2002年よりオーラソーマ・プラクティショナーとして独立開業。
2006年より公認ティーチャーとして活動中。

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