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巻頭エッセイ


第618号 鮎沢さん(50)「季節の色27」:利休色

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■ 1.巻頭エッセイ:
     鮎沢玲子さんの季節で楽しむ日本の色 Vol.27
                 ≪【利休色】りきゅういろ≫ (2016,3/2 水)
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もう3月ですね。

明日は、もう桃の節句。

とはいえ、もとは旧暦での3月3日なので、実際は桃の花咲く3月
下旬になります。

桃源郷とはよく言ったもので、桃の花が満開に咲く谷を見たときは、
まさに桃源郷という言葉を思いだしました。

桃源郷という言葉は、陶淵明が自分の理想とするユートピアを描い
た『桃花源記』が出処になっています。

ある漁師が、渓谷に沿って船を漕ぐうちに方向を見失い、やがて桃
の木の林が現れ、すると水源のあたりで林は尽き、山がそびえてい
るところに行き着きます。

山には桃の花が咲く水源の奥に密かな土地があって、漁師が入って
いくと、そこに住む住民たちの、この世の束縛から解放された自由
な生活を楽しんでいる姿を目にします。

住人は、漁師を見て大いに驚きます。

というのは、住民たちは秦の時代に乱を逃れ、一族郎党を率いてこ
の地にやってきて以来、外へ出たことがなく、外の世界とは断絶し
て暮らしてきたからです。

住民たちは外の世界の様子を知ろうと、漁師を自分の家に招いても
てなします。

漁師は数日滞在した後、去ろうとすると、住人たちは、この地のこ
とは外の世界の人々に語らないほうがよいと忠告し、漁師を送りだ
します。

漁師は桃源郷を出て、外の世界に舞い戻り、船にたどり着くと、ま
た来ることを期待して、来た道に沿って所々に印をつけます。

しかし、漁師の話を聞いて、人々は印を探したけれども見つからず、
誰もそこにふたたび至ることはなかったというのです。

桃源郷に漁師が再訪できず、その話を聞いて行こうとした誰もが訪
問できなかったのは、心の外に求めたからであり、探すとかえって
見出せなくなるからだ、というのです。

つまり、桃源郷は地上のどこかではなく、魂の奥底に存在している
ものだというのです。

オーラソーマは、あなたの魂の奥底にある桃源郷への道案内のよう
なものですね。

今回の鮎沢玲子さんの季節で楽しむ日本の色は、桃色ではなく、
≪【利休色】りきゅういろ≫

利休色と聞いただけで、いったいどんな色だろうと、興味が惹かれ
ます。

鎌倉では、うぐいすの声が聞かれましたが、どちらかといえば、う
ぐいす色に近いのでしょうか?

それでは、鮎沢玲子さんの季節で楽しむ日本の色 Vol.27≪【利休
色】りきゅういろ≫を、どうぞお楽しみください。

それでは、すてきな一日を。
Have a nice day!

                           尚 記


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今年は閏年(うるうどし)で2月29日までありました。

1日得をした気分ですね。

ところで1591年(天正19年)2月28日は、茶人・千利休が
没した日です。

仕えていた豊臣秀吉の命令で自害したといわれますが、その理由は
謎に包まれたままです。

1ヶ月遅れの命日として、茶の湯の世界では利休の遺した業績に思
いをはせ、御霊を供養する「利休忌」という茶会が、京都の大徳寺
で開かれます。

表千家は3月27日に、裏千家は28日に開くことになっているそ
うです。

千利休(せんのりきゅう)は、中世末期、戦国時代、安土桃山時代
にかけて活躍した有名な茶人。

織田信長に登用され、本能寺の変の後には豊臣秀吉に仕える。

なにも削るものがないところまで無駄を省き、緊張感を作りだすと
いう「侘び茶(草庵の茶)」の完成者として知られています。

「侘び」の美意識を重んじ、禅の「枯淡閑寂」の精神を求めました。

それは、ひっそりとしていて寂しく、あっさりしたなかに深い味わ
いがあること。

実は、この利休の名を冠した色名がいくつもあるのです。

たとえば、利休茶、利休白茶、利休鼠、利休生壁(なまかべ)、な
どです。

これらの色は「利休好み」と表現されることが多いのですが、残念
ながら、この色が生まれたのは江戸時代。

本当に好みの色であったかどうかはわかりません。

この時代は、茶色の流行に乗って、さまざまな色の名前が誕生した
のです。

利休色は、渋く穏やかな灰色みの緑色のことで、抹茶を連想させま
す。

色の表現として、緑色がかった形容に「利休」が使われています。

利休茶は緑みの茶色で、それが薄くなると利休白茶になります。

いずれにしても「侘びさび」の雰囲気を持った、枯れた感じの色に
使われます。

個人の名前が、これほど色名に使われている例はほかにありません。

没後四百年以上を経ても色褪せない人気からか、現代でも利休を主
人公にした映画やドラマなどが頻繁に作られています。

もし、春の京都に行く機会があれば、利休の足跡を訪ねてみるのも
いいかもしれません。

秀吉との間にいったいなにがあって、どんな思いで利休は自害した
のだろうか。

私たち日本人の美意識に今も影響を与えている千利休に、思いをは
せるにはいい季節かと思います。

(※こちらで画像とともに掲載をしています。
 http://ameblo.jp/aurasoma-unity/entry-12134740744.html


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鮎沢玲子(あゆさわ れいこ) プロフィール

有限会社「カラーズガーデン」代表。
英国オーラソーマ社公認ティーチャー。
栃木県宇都宮市生まれ 生家は染物屋を営む。
中学校美術教師を経て、インテリアコーディネータとして14年間
住宅メーカーに勤務。
2002年よりオーラソーマ・プラクティショナーとして独立開業。
2006年より公認ティーチャーとして活動中。
http://ameblo.jp/aurasoma-c-garden/


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