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巻頭エッセイ


第155号 タロットとオーラソーマ その4

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■ 1.巻頭エッセイ:タロットとオーラソーマ その4
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前回は、オーラソーマシステムでのタロットの位置づけを知るために、タロッ
トの歴史とその諸説の考え方と根拠を見てきました。

「占いタロット」の流れを見て、そしてタロットをカバラの生命の木との位置
づけて見ていく「オカルトタロット」の流れを見てきました。

オカルティズムのタロットの源泉となったのがエリファス・レヴィ(アルフォ
ンス=ルイコンスタン)による「高等魔術の教理と祭儀」であり、そこでタロ
ットがカバラの教義と生命の木とが結びつけて考えられるようになりました。

そしてその流れが、現在も有名で人気のあるタロットとして流布しているウエ
イト版とクローリー版のタロットとなって、引き継がれているというところま
でを書きましたので、今回は、それが具体的にどのように引き継がれたのかと
いう根拠を書いて手みたいと思います。

では、それはどのように引き継がれたのでしょうか?

それはタロットについてある程度勉強した人は聞いたことがあるかと思います
が、「黄金の夜明け団」という19世紀末のイギリスの秘密結社がその源となっ
ています。

クローリー版のタロットの製作者のアレイスター・クローリーも、ウエイト版
のタロットの製作者アーサー・ウエイトもこの一員だったのです。

「黄金の夜明け団」は1888年、ウィリアム・ウィン・ウェストコット、サミュ
エル・リデル・メイザーズ、そしてイギリスの薔薇十字協会会長のウィリアム・
ロバート・ウッドマンのメンバーによって創立され、メンバーにはノーベル文
学賞を受賞した詩人W・B・ウエイツなどの有名人も多く所属していました。

この「黄金の夜明け団」は、とても奥深いオカルト的知識を保有している団体
として名高く、当時はこの「黄金の夜明け団」が保有しているタロットの知識
を得るためには、まず入団して秘儀伝授の儀式を受け、その位階を上がってい
かなければならなりませんでした。

そのタロットの知識は、ある段階に達したときにはじめて守秘義務の誓いとと
もに明かされた門外不出の知識だったのです。

そして、その「黄金の夜明け団」のタロットの知識の中心にあったのは、タロ
ットカードと正確に対応させられた、ヘブライ語、占星術のシンボル、金属、
宝石、色などのお互いの対応関係についての知識の体系だったのです。

この理論の中心が、タロットとカバラの対応関係なのです。

ここではじめて、大アルカナはカバラの生命の木の各セフィラをつないでいる
22本のパス(径)に対応させられたのです。そして対応させられた大アルカナ
には従来どおりヘブライ語の22文字のアルファベットも対応させられています。

これらの対応は「愚者」のカードの位置や「正義」と「力」などのカードの順
番などに若干の違いはあるにせよ、エリファス・レヴィのカバラに関連する文
献を引き継いでいるわけです。

この「黄金の夜明け団」のタロットの理論で、大アルカナがカバラの生命の木
の各セフィラをつないでいる22本のパス(径)に対応させられたことにより、
カバリストないし魔術師たちは、生命の木の下位のセフィラーから上位のセフ
ィラーに上昇して「神」へと回帰する際に、自らの意識を変容させていくため
に大アルカナのイメージを利用し、高次の存在の次元にいくことが可能になっ
たのです。

このように「黄金の夜明け団」がタロットの知識を引き継ぎ完成させるまでに
は多くの紆余曲折があるのですが、それはややこしい経緯がいろいろとあるの
でここでは省きます。

いずれにしろ、ここでは、この「黄金の夜明け団」がタロットと生命の木のパ
スとの対応関係を確立していった、という歴史的な経緯を理解してもらえれば
よいと思います。

そして、クローリーとウエイト版のタロットは、その考え方を引き継いで製作
されたのです。

アーサー・E・ウエイトは21歳のころから大英博物館の図書館室で働きはじめ、
1891年黄金の夜明け団に加入。1901年にはフリーメーソンにも加入しています。

そして1903年には、「黄金の夜明け団」の分裂騒ぎが大きくなり、自ら「聖黄
金の夜明け団」を創設し、独立しています。

彼は生涯にわたって薔薇十字団、フリーメーソン、カバラ、錬金術などについ
ての多くの著作を残し、翻訳書を残しています。

レヴィの「高等魔術の教理と祭儀」から抜粋して英訳した「魔術の神秘」とい
う本を翻訳し1886年にロンドンで出版しています。

そして1909年にオリジナルのタロット・パックをライダー社から出版していま
す。これがウエイト版ないしライダー版としてして広く知られているタロット
です。

その翌年に、その解説書である「タロットの鍵」を出版しています。

そのタロットの製作に当たってはパメラ・コースマン・スミスという画家にそ
の絵を依頼しています。彼女の画風としては、そのアウトラインの書き方や色
彩感覚は浮世絵や日本画に影響を受けたと考えられています。

人気の西洋タロットの図柄が浮世絵の影響を受けていたなんて、愉快ですね。

それはともかく、パメラ・スミスはそのタロットの絵をどのように描いたかと
いうと、黄金の夜明け団で描かれていたカードのデザインはもちろん、レヴィ
やそれまでの先行者たちのタロットの図柄を参考にして組み合わせながら、ウ
エイトの「タロットの鍵」に記されている各カードの占い上の意味やキーワー
ドをもとに、彼女の独創性によってストーリー性を持たせたデザインにしてい
ったと考えられています。

例えば、「愚者」のカードについていうと、これまでのカードでは、愚かな人
物として描かれることが多かったのが、颯爽と旅に出るかのような若者とし、
断崖に向かって歩いている、という構図もこのときに初めて描かれた新しい構
図なのですね。

つまり、この世に数多くあるタロットカードというのは、その起源を調べてみ
ると、時々の時代背景と作者の思想や考えによって、さまざまなものがあり、
そしてその図柄も一義的なものではないのだ、ということを理解していただけ
ればと思います。

では、「20世紀のタロットの最高傑作のひとつ」として評判の高いクローリー
タロットはどのように生まれたのでしょう?

・・・それは次回、ということにしましょう。

参考文献:「タロット大全」 伊泉 龍一/紀伊国屋書店
     「タロット」 アルフレッド・ダグラス/河出書房新社
     「正統カバラ・タロット占術」 斉藤啓一/Gakken

                                尚 記


もう少しオーラソーマについて知りたい方は、
次にお進みください。



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